フルートの選び方 - メーカーによる違い(高級モデル)

高級フルートは個人工房を含めると実にたくさんのメーカーがあります。特に日本ではアマチュアもレヴェルが高くなり、「某世界的演奏家が使用しているので・・・」、といった基準で選ぶ時代はすでに終わり、個性的な自分だけのフルートを探す傾向が強くなりました。それを反映してどのメーカーも物理性能より個性を重視した作りになってきています。その一方で基本性能の音量や音程を軽んじたものもあるので、惚れこみと客観性のバランスがいっそう難しくなっています。 また、“コンサートやコンクール”と“自宅での癒し”ではフルートに求めるものが変わってきます。高価な買い物ですので、よく考えて選んでいただきたいと思います。


 ■ 国産メーカー

ムラマツ

 世界中でプロの演奏家に最も使われているメーカーです。近年の改良の成果もあり、抜群の物理性能を備えた典型的なコンサート用フルートです。たまに「ルイ・ロットと比較して云々」と言うお馬鹿さんがいますが、時代背景も目指すものも違うのですからこのような評論は無意味です。
ムラマツは他のメーカーのように、広告塔になる名演奏家に自社のフルートをプレゼントしたり、特別な楽器を製作したりしません。それにもかかわらず多くの演奏家やコンクール入賞者が使用しているのは、反主流派が何と言おうと、優秀な“フルートという演奏ツール”だからでしょう。音色はややダークな大音量をしていますが、ムラマツらしいこの音色が、画一的で個性のない音に感じることもあります。そのため別のメーカーの頭部管を使って個性を出す場合も少なからずあります。精緻に作られた良く鳴る本体は、ラファンをはじめとした頭部管メーカーの格好の餌食となっています。他の楽器との親和性が非常に高い音なので、銀製では時として埋もれてしまうこともあり、このことも頭部管を変える理由になっています。

 総銀製以上はこのメーカーのマーケティング・ターゲットが明確ですので、その点をやや詳しく見ていきましょう。

【DSモデル】

旧スタンダード>旧AD>DSと進化してきた総銀製の主力機種で、学生から音大生・アマチュアまで非常に多くのユーザーに使われています。フルートが何たるかを知るには格好のモデルで、鳴らし方や音程の取り方がよくわかるので、奏者を育ててくれます。このモデルの音で物足りなくなったら、かなり良い耳ができたと言えます。

【SRモデル】

同じ総銀製ですが、DSモデルとはかなり異なるコンセプトで作られています。まず最大の特徴はムラマツでは唯一のソルダード・トーンホールだということです。音色は開放的に楽器が鳴ってくれるDSモデルに対して、やや暗めの重厚な音で、頭部管も奏者自身が積極的に音色のコントロールをしやすい性格に仕上げられています。吹奏感もかなり重く、音楽性を追求する上級者向けの性格を持っています。ムラマツの全モデルの中で最も音色パレットが豊富なモデルです。

【PTPモデル】

DSモデルにプラチナメッキを施したもので、強い息のパワーでもしっかり受け止めてくれ、レスポンスもしっかりして切れが良くなります。より音量があるので吹奏楽では非常に頼りになります。メッキながら確実にプラチナの性格を受け継いでいて、音色は銀よりやや暗く単調です。パワーがあり銀製では物足りない奏者、プラチナのテイストが欲しいがプラチナの予算は無い方に向きます。

【9Kゴールド】

こちらのコンセプトはPTPモデルや高純度金製フルートの対極にあり、息にパワーが無くても、煌びやかでレスポンスの良い演奏を求める方を対象にしています。ずばり、高齢で上質のフルート・ライフを楽しみたい方を最大のターゲットにしています。美しく、重量も非常に軽く、演奏も楽で、価格設定も上手いと思います。

【14Kゴールド以上&プラチナ】

9Kゴールドとは全く違う本格的なコンサート用フルートで、ホールで演奏することに最適化されています。奏者の力量、パワーに応じて14K、18K、24K、プラチナを選択することができます。これらはプロ用の性格が強いですので、アマチュアでは14Kゴールドまでが使いやすいと思います。

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サンキョウ

 サンキョウもどちらかというとコンサートタイプの音のフルートを作っています。かつてはムラマツと人気を二分し、ムラマツ以上に丁寧な作りをするメーカーなのですが、職人的発想からのイノベーションばかりで、マーケットでのウケが悪く、とても損をしているように思います。事実、すばらしい楽器を作る技術を持ったメーカーです。特にパッド合わせについては最高の丁寧さです。
 数あるフルートメーカーの楽器の中でも、最も奏者との相性がシビアなフルートで、相性があると丸っこくなりやすい銀製でも、ムラマツの9金ゴールドのような、シャープなレスポンスを備えた煌びやかな大音量を出すことができます。合わない場合はとても貧相な音になります。また、奏者によっては非常に図太い音色になる場合もあり、材質や構造による影響が一般論として言えません。また、このメーカーは思いつきをすぐに製品できる高い技術力があるので、しょっちゅう変わったものを少量だけ作ってやめてしまう困ったクセがあります。
 実際の製品にふれて、相性に確信を持てれば絶対に良い楽器です。ソリスティックな音色は相性が合えば他のメーカーでは得られない満足感があります。

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アルタス

 ムラマツと対極の趣味性の高いフルートを作っています。フルートを演奏の道具と見ずに“私の宝物”として愛しながら吹く奏者にはたまらないこだわりの選択肢が用意されていてます。楽器としてみた場合、非常によいスケール設計がされていて、正確な音程と平均したレスポンスが得られます。ベネット・スケールと言っていますが、実際はもっと優れたブランネンに近いスケール設計をしています。(本当にベネットの理論で作ったらこうはならないでしょう)
 フル・コンサート的な大音量ではなく、上品なクセのない自然な音色をしています。ムラマツを吹くようなパワーをかけると非常に下品な音も出すことができます。倍音は少ない方ですが、根音はしっかり出ているので他の楽器とアンサンブルをした場合に自分の音を見失うことは少ないでしょう。しかし、サンキョウやムラマツのような典型的なコンサートタイプのフルートとアンサンブルすると音量的に負ける傾向があります。

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パール

 このメーカーのフルートはハンドメイドクラスでも二通りあり、二人の技術者でコツコツ本当のハンドメイドで作る「オペラ」とラインで製作しているシリーズとに分かれています。
オペラは非常によいフルートで、現代的で正確な音程、澄んだ透明感のある音色を持ち合わせています。コンサート用と趣味用の中間的な性格があり、大きなホールでなければ満足して吹くことができます。
 マエスタ・シリーズなどのセカンドラインは「オペラ」で培った技術を生かし、量産化したもので、よりコンサート向きの性格を備えています。吹きやすく音程も良く、音量はこちらのシリーズが豊かです。
 パールはこの分野での地位を確固としたい目標もありアマチュアの無理な要求もかなり聞いてくれる貴重なメーカーです。材質・メッキ・オプションなどこだわりたい方にはパールを選ぶのも一つの選択肢です。出来合いのフルートとは違うこだわりのフルートは愛着も湧くでしょう。

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ミヤザワ

 近年のミヤザワは、高級フルート市場を海外に求める方向にシフトしています。製作精度も高く、ブロガッガーシステムやストロビンガーパッドなどの先進的テクノロジーを取り入れていますが、日本国内では未発表です。頭部管も海外モデルの方が、選択肢が多く、国内では販売していないものもあります。海外では細部の仕上げはあまり気にしないことから、機能に関係のない美的な仕上げを省略し、ハンドメイドモデルにも普及モデルと同じ仕上げのキーを採用してしまいました。(2006年現在のカタロク写真は変更前の写真ですので注意!)
ムラマツがハンドメイドのキーを普及クラスまで採用してラインを一元化したのと比べると、全く反対の合理化のための手抜き一元化であり、この点は猛省して路線変更して欲しいところです。
 スケール設計は典型的な伝統的タイプ、オールド・ヘインズに近いものですので、新しいアメリカ系のスケール設計に比べると音程に注意する必要があります。
 メーカーとしては、国内市場は普及モデル販売を中心に据えているようなので、日本で積極的ミヤザワのハンドメイドを選択する理由はないかもしれません。

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アキヤマ

 秋山氏はかつてミヤザワフルートで頭部管を製作していた優秀な技術者で、筆者も一時期、秋山氏の削ったミヤザワ頭部管を愛用していたことがあります。カスタム・メイドの彼の頭部管は、レギュラーのミヤザワとは全く違う、個性のある良い頭部管でした。
アキヤマ・フルートはルイ・ロットを中心としたオールド・フレンチ・フルートの再現を追求している個性的な個人工房です。素材・加工法・デザイン・設計のすべてに非常にこだわりを持って作っており、人柄と妥協を許さない製作姿勢で熱烈なファンに支えられています。最も趣味性の高いフルートですので、大メーカーの製品と比べるものではありません。オールド・フレンチが好きな方には外せないフルートでしょう。
 ミヤザワ時代はバーカートに勝るとも劣らないハイパワーな頭部管を作っていたあの秋山氏が、こうなるとは・・・とても想像ができません。

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サクライ

 こだわりと頑固ではトップのフルートメーカーです。あまりに頑固なので今では正規ディーラーが無く、直接ご機嫌を伺って製作してもらうようなメーカーです。現在では二代目になっているので、今後は、少しは融通が利くかもしれません。とにかく何でもフルートの材料にしてしまうようなオヤジです。変なフルートがいっぱいあります。
 サクライフルートは、金属フルートはすべてソルダード・トーンホールです。
ねらい目は洋銀のソルダード。洋銀のソルダードの楽器はここでしか手に入らないので、筆者もかつて洋銀ソルダードを作ってもらったことがあります。非常に丁寧に作ってあり、良い本体でしたが、頭部管は私には合いませんでした。

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コタト&フクシマ

 低音フルートの世界的メーカーです。もちろん普通のフルートも製作していますが、有名なのはアルトからコントラバスまでの低音フルートです。世界的に人気がありますので、納期は非常に長いことを覚悟してください。

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 ■ 海外メーカー

ブランネン

 現代における世界最高のフルートメーカーと言われ絶大な信頼を得ているメーカーです。このメーカーのオプションでは生半可なキーの取り付けだけではなく、キーシステム自体をいくつもオプションで選ぶことまでできます。アルバート=クーパー氏の推奨する“完璧なフルート”(リングとカバードのコンビネーション)もあります。
 スケール設計については総本山的なメーカーでスケールまでもオプションで選ぶことができます。特殊なものでなく通常設計のフルートも実に正確な音程を持ち、信頼して演奏できるフルートです。
 典型的なコンサート用フルートで、非常にパワフルに鳴りますが相当に力量がないと鳴りをコントロールすることができず楽器に振り回されてしまいます。音色そのものは全くクセのないニュートラルな音なので、奏者の持つ音色やコントロールした色彩をとても良く反映してくれます。物理的な性能は保証するが音色の個性は奏者に任せるフルートです。
 本当に力量のあるプロフェッショナルを想定して製作している上に頭部管や本体の選択肢も多いので、ブランネンのハンドメイドモデルはフルートを知り尽くした最上級者だけが、その本当のポテンシャルを引き出すことができる手強い楽器です。
それに対して引き上げのミレニアム・モデルは価格的にも魅力ですが、それ以上にだれにでも使いやすく作られています。しかし頭部管はハンドメイドモデルと同じなので、引き上げ本体の明るさも手伝ってアンサンブルでは浮いてしまって喧しいこともあります。

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パウエル

 パウエルはアメリカの老舗の一つであり、長期にわたって魅力的なハンドメイド・フルートを製作してきました。現代アメリカの優秀な製作家はほとんどがパウエルで働いていた職人です。アメリカ版のムラマツと言えるでしょう。
 50年前のパウエルでも、現代のパウエルと同じ価値を持っているところがこのメーカーのすごいところです。古いパウエルは音量こそありませんが、クリーミーでポッとした、独特で深みのある明るさを持つ音色をしています。「遠くで良く響く」と言われた遠達性のある不思議な音を持ったフルートでした。現代のパウエルは全く違ってパワフルでシャープですが、大量の息を必要とする楽器ではありません。丁寧にポイントを定めて吹くとビビッと反応してくれます。
キーデザインと仕上げが芸術的なまでに美しく、このブランドの虜になる理由の一つです。美しさの反面、キーの精度に関してはハンドメイド高級フルートとして問題のない範囲に甘く作ってあり、このことが非常に軽いキーアクションを実現しています。また、特に公表しませんが、ピンレス化やストロビンガーパッド、特殊なE3機構、カップの加工など先進的なテクノロジーも随時取り入れ、随時いろいろな改良をしています。

総銀製

パウエルは総銀製に根強い人気があります。重量も軽く奏者の意図に敏感に反応してくれます。独特のなめらかで軽い音色も魅力です。美しいデザインと繊細な音に魅了されたパウエル好きにはムラマツやサンキョウは野暮ったく見えてしまうようです。

オーラマイト

オーラマイトはちょうどムラマツの9K的な性格を持っています。自分では頼りない音に聞こえても不思議と遠くまで音が飛んでくれます。ポイントをつかむと非常に早い反応をしてくれます。

ゴールド・フルート

金製については「素材による違い」がそのまま当てはまります。

ハンドメイド・ドローン

最近出たハンドメイド・ドローンはソルダードに比べて大幅に製作手順が短縮できることから、今後大きな購買力を持つと思われる中国のブランド好きのためのものではないかと思っています。

木管フルート

パウエルの木管フルートは管の厚みを非常に薄くしてトーンホールを接着で作り、金属フルートと違和感のない吹奏感を実現したことで、非常に取り扱いやすい木管フルートとして人気があります。一方で音がより金属フルートに近いことから、その必要性を疑問視する声もあります。

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ナガハラ

 今最も注目されるフルートメーカーです。永原氏はサンキョウからバーカートを経て独立した若いメーカーですが、完璧なスケールによる世界最高の正確な音程、すべての音が同じ気柱の長さと思えるような完璧なバランス、ブランネンをしのぐ音量と気品のある音色、指にしっくりくるキーの感触などおよそ思いつくすべての点で最高のフルートを作っています。
長年ムラマツを使ってきたゴールウェイも2005年からはナガハラに乗り換えました。ちなみにゴールウェイが使っているのは、フルコンサートモデルという、ベーム以来手をつけなかったボアの大きさを大きくし、頭部管を長くしたモデルです。こちらは誰にでも合うというものではなさそうですが。

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バーカート

 パウエルピッコロの開発者リリアン・バーカートと、元パウエル社長のジム・フェランがパウエル退社後に設立したメーカーです。パウエル頭部管のエキスパートのリリアンと楽器設計者であるフェランが、最低でもパウエル以上のフルートを作ることを念頭に製作しているフルートですから悪いはずありません。非常によいが好き嫌いは分かれます。
色々な部分に斬新なアイディアを入れて製作していますが、典型的な現代アメリカンフルートで非常に強力なコンサートフルートに仕上がっています。あえて近距離での滑らかな音色を犠牲にして遠鳴りに徹したようなパワフルな音と、大きな指を想定したようなキーの感触が、日本での好き嫌いをはっきりさせているようです。しかもこの二人は非常に頑固なところがあり、日本からの要望はほとんど受け入れないところがあります。
しかしながら、現代のフルートの中でトップランクのコンサートフルートであることに間違いありません。

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ヘインズ

 アメリカ最古の老舗フルートメーカーですが、何と今は中国資本の会社になりました。
 ランパルが活躍していた時代、“30000番台のヘインズ”と言われて世界中のプロから支持を得たメーカーで確かにその時代の物は、音量こそありませんが他のメーカーにない甘く気品のある音色で、ルイ・ロットと通じるところがあります。今でも熱烈なファンが世界的に健在です。その後、良く指摘されていた音程の悪さと、現代の音楽シーンに合わせた大音量化のための改革をしたのですが、同時に昔の良さも薄れてしまい、経営的に厳しくなってしまいました。皮肉にも、今、ヘインズをほしがる人のほとんどは、昔のヘインズを求めています。限定でランパルモデルを復刻して出したりしていますが、老舗の衰退は時代の趨勢でしょうか。

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シェリダン

 パウエルとブランネン出身のダナ・シェリダンは現在、ドイツ人の奥さんと結婚し、ドイツに製作の拠点を移して製作しています。アメリカでの製作時代はブランネンとよく似た、現代的なシャープな音色の楽器を製作していましたが、現在は良く鳴る本体はそのままに、頭部管はヨーロッパ好みの、色気のある落ち着いた頭部管に変わりました。(奥さんの力なのか?)
  製作に手間がかかるフルート本体は14金以上しか作らないという主義ですが、頭部管は銀製から作ってくれます。シェリダンの頭部管はマテキやパールなど、軽めのレスポンスの本体と相性がよいようです。

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 ■ 頭部管メーカー

ラファン

 頭部管メーカーとしては圧倒的なシェアと評価を勝ち取った唯一の製作家です。元々、ベルリン放送やベルリンフィルの奏者として地味に活躍したのですが、オーケストラ向きの頭部管を製作しはじめたところバカウケし、今では世界的なプロのほとんどが使用する標準頭部管になってしまいました。吹きやすさ、音量、音色、コントロールのしやすさなど、どれをとってもすばらしく、元の頭部管と付け替えると全く別の楽器に変身します。
フルートメーカーの広告塔になっている奏者でも、頭部管だけはラファンを使っている奏者が圧倒的に多いのが現実です。
 ラファンは後継者がおらず、自身も高齢になってきたため、現在では自宅にストックのある14金以外の製作をしていません。材料が無くなり次第、製作を終了すると思われます。納期も不確定なため、今後は新品を購入することは絶望的です。

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バーカート

 リリアン・バーカートは頭部管のエキスパートなので、自社ブランドのフルート製作を開始する前の数年間は頭部管メーカーとしてその名を知られました。
色々なタイプを考案し、常に改良していて人によって評価は様々ですが、ユーザーの多いムラマツの本体に付け替えて、よりグレードアップする頭部管を考えていましたので、当然ムラマツに使うとムラマツらしからぬ他の楽器とのアンサンブルに負けないしっかりした音が出ます。しかし、どのモデルもこの人の特徴である筋肉質な音が好き嫌いをはっきりさせます。
 ラファンは“綺麗な音の頭部管”ですが、バーカートは綺麗な音より“表現力を追求した頭部管”だと言えます。

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フォリジ

 オールド・フレンチ・フルート以来、フランスでは優れたフルートメーカーが出てきていません。他の木管はフランスが本場なのにフルートだけは日本とアメリカに圧倒されています。そこで国を挙げてフルートの再興を期したメーカーがこのフォリジです。ラファンやバーカートとは全く違って、オールド・フレンチ・フルートのような、音量を犠牲にしても繊細で甘く美しい音を目指した頭部管です。
 ただし、モイーズに代表されるようなフレンチ・スクールの内吹きでないとその真価が発揮されないので、現代の奏者に受け入れられるかは難しいところです。他の頭部管では味わえないオールド・フレンチの味を求めるのであればトライする価値があります。

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