フルートの選び方 - 何を考慮して選ぶか

 ここではフルート愛好家が、楽器の選択する時の参考になる情報を提供しています。もちろんプロの方でも、ご自身の楽器選択、生徒さんへのご紹介に役立つヒントがたくさんあると思います。
旧バージョン(1998年)の「フルートの選び方」は下記でご覧いただけます。
http://flutesaloon.com/archive/select.html

音の違い・吹きやすさの違い・価格の違い

 一口にフルートの違いといってもいくつかあります。楽器ですので音の違いはまず第一ですが、どんなに音が良くてもうまく吹けないのなら意味ありません。また、音が良く吹きやすくてもあまりに高価であれば買えないこともあります。しかし、高価な楽器ほど吹きやすいとか、万人好みの良い音がするとは限らないのが事実です。

価格差1000倍の違いは何か

 フルートは、最近の中国製最低価格モデルなら1万円くらいから、最高価格帯は1000万円近くまで、なんと1000倍近い価格差があっても、楽器の大きさも演奏できる音域も違いがありません。これほど価格差のある商品は珍しいのではないでしょうか。
この違いは「材料・ブランド・品質・オプション」によって生じているといえます。
これらの要素が、フルートに対してどのような影響を与えるかをご紹介し、あなたのフルートを選ぶ際に参考にしていただけたらと思って解説いたします。

プロの楽器・アマチュアの楽器

 第一線のプロのフルーティストが使っている楽器は、たいていの場合、その演奏者にとってよい楽器です。しかしプロフェッショナルにとってよい楽器がアマチュアにとってもよい楽器であるとは必ずしも言えません。アマチュアはプロにない特権があることに気づき、下記も考えてみてはいかがでしょうか。

演奏場所

 コンサート会場で演奏することを最終目的とするしているのか、自宅での演奏を楽しむのが目的なのかで、求められる音は違ってきます。もし、 ホールの隅々まで響かせたいのであれば、近くで多少は粗く感じられても客席できらびやかな音に聞こえる楽器がよいでしょう。自宅で楽しむのであれば、室内で美しく上品な音の楽器が好ましいはずです。
 また、一般的に吹奏楽では大きな音を求められることが多いですが、オーケストラやアンサンブルでは音量よりは美しいピアニシモを要求されることが多いようです。

年齢と体力

 一人の奏者でも若い頃と歳をとってからとでは楽器の好みが変わってきます。パワフルな奏者にはそのパワーをしっかり受け止めてくれる楽器、体より知性で表現をすることに集中するには、繊細な違いに対し的確に反応してくれる楽器がよいでしょう。

自楽と自己表現

 中国には「自楽」という言葉があります。中国の有名な楽器『鼓弓』は演奏を聴かせる楽器ではなく、自分が弾いて楽しむ=「自楽」の楽器であるといわれます。自分を表現するためにふさわしい音、自分を慰めるためにふさわしい音、どちらを欲しいのか考えてみましょう。

技術指向

 “なんば”という言葉をご存じでしょうか?古武術では今持っている力を巧みに利用して「難場」に対処することを良しとしています。難場(戦い)は体力や技術を身に付けるまで待ってくれません。それに対し、スポーツはトレーニングや練習によって足りない力を身に付けることを基本としています。あなたが選ぶフルートを、さらなる技術獲得のためのトレーニングマシンとするのか、あるいは今の力を効率的に発揮する道具にするのかで選ぶ基準は変わってくるでしょう。

価格差をどう受け止めるか

 先にも述べたとおり、フルートの価格は最低最高で1000倍近い差があります。こうなると、「いくらの商品を買おうか」ということになりそうですが、大切なのは、あなたにとって最もふさわしい楽器を選ぶことです。ですから、まず選んで、それから価格を見て、買えるなら買う、買えなかったら、今はあきらめることが大切です。
 価格のために楽器を妥協しても愛着が湧かず、いずれ近いうちに買い直すこととなり、余計な出費が必要です。短期間で何度も買い直してくれるお客様は商売ではありがたい存在ですが、私どもは本当にお客様が満足できるフルート提供したいと思っています。

 この選び方のアドバイスを読んでいかれれば、あなたに最適な笛は必ずしも価格に比例して良くなるわけではないことが理解いただけることと思います。